RA(修了生)

坂本 正樹

主専攻
修士(法学)
修士(工学)
博士(法学)
副専攻
理工学研究科 修士(工学)
研究テーマ

(主専攻)国際政治学、冷戦史 (副専攻)ネットワーク分析

趣味
読書、料理、水泳

5年間を振り返る

リーディング大学院プログラムを知った最初の契機は、大学院入学時に配布された一枚のパンフレットだったと記憶している。三田キャンパスでの研究生活に思いを巡らせていた自分が、その後にあえて最寄りの日取りであった信濃町キャンパスでのプログラム説明会を聴きに行ったのは、この時点で既に単純な興味以上の期待をリーディング大学院プログラムに抱いていたからかもしれない。それでも当時は、単純に「なんとなく面白そうなプログラムが始まるみたいだ」という程度の考えで、リサーチアシスタント(RA)への応募を決めたというのが正直なところであった。
しかし、プログラムの活動が本格的に始まるにつれ、リーディング大学院の魅力を徐々に実感するようになった。その中でも、振り返って強く実感するのは優れた人との出会いである。
プログラムの中心的活動の一つとして、土曜日をほぼ丸一日使ったグループプロジェクト演習(GPE)がある。RA各人が決めたテーマについて、産業界からのメンターと他研究科の学生を交えて行われる議論は、意見の多様性という点で、従来の研究科ではなかなか経験することのできないものである。私は総合商社丸紅からリーディングに参加して下さった島崎豊特任教授の下で、エネルギー問題を中心にGPE活動を進めた。ゼミでのディスカッションにおける島崎先生のコメントは、経験に裏付けられた説得力を持つと同時に、柔軟な発想力や視野の広さを兼ねており、研究を進める上で大変な助けとなった。また、課外活動において、私はエネルギー問題の専門家へのヒアリングを行い、三年目には米国でロングビーチ、ヒューストン、ワシントンDCの三都市を巡るフィールドワークも行ったが、こうした経験も、メンターである島崎先生のご支援なくしては不可能なことであった。
プログラム活動のもうひとつの柱である副専攻修士課程では、私は理工学研究科の栗田治教授の研究室に在籍させていただき、ネットワーク分析をはじめとする数理解析の手法を、専門である国際政治学の領域に応用する研究を行った。法学研究科では外交史料を用いた歴史研究を行っていたため、数理モデルの知識やプログラミングの作業が求められる理工学研究科での研究方法は、ほぼゼロから一年間で修得しなければならなかった。当然簡単な仕事ではなかったが、実際にやってみてそれほど負担を感じることはなかった。これは、ひとえに栗田先生の素晴らしいご指導のおかげである。突然に研究室を訪い指導をお願いした勝手な私を、栗田先生は快く受け入れ、研究室の一員としてご指導下さった。毎週のゼミ報告におけるディスカッションでは、国際政治領域における私の専門知識や関心を尊重しつつ、それらを理工学研究科における研究として昇華するために様々な助言を下さり、時間を忘れて議論することもしばしばだった。そうしたご助力のおかげで、私の副専攻課程は、困難よりもむしろ新しい研究領域を探索する楽しみに満ちたものだったのである。

海外経験の深化という点でも、リーディング大学院プログラムを通して得たものは多い。特にプログラム共通の活動として、初年度末にはサンフランシスコの法律事務所で約一カ月間のインターンシップを、五年目にはワシントンDCのアメリカン大学で約四カ月間の短期留学生活を送った。アメリカン大学滞在中は、参加していたアカデミック・インターンシップ・プログラムの関係で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のワシントンオフィスでインターンとして働く機会にも恵まれ、サンフランシスコでの経験と合わせて英語でのビジネス・コミュニケーション・スキルを磨く貴重な経験を積むことができた。とりわけ、ワシントンDC滞在中には、ディスカッションや口頭発表はもちろん、セミナーの質疑応答への積極的な参加、あるいはインターン先での報告書作成など、アカデミック・ビジネスを問わない広範な活動を経験した。多様な人材が行き交うワシントンDCという街でこうした経験を積んだことで、グローバルな現場で様々な背景を持つ人々と自由にコミュニケーションを行う自信を培うことができたと考えている。
以上のような、リーディング大学院プログラムを通した非常に濃密な活動が、主専攻の指導教授である赤木完爾先生のご理解とご支援あってのものだったことは、改めて記すまでもない。学部時代からご指導いただいている赤木先生には、主専攻での研究指導だけでなく、リーディング大学院という場で学ぶことの意義についても、しばしば重要な示唆をいただいた。様々な活動に忙殺されるリーディング大学院RAとしての生活の中で、主専攻研究をしっかりと中心軸として維持できたことは、赤木先生のご支援があってのことである。
最後に、振り返ってリーディング大学院プログラムは、非常に優れたプログラムスタッフに恵まれていたと改めて感じる。コーディネーターを務めた大西公平教授、神成文彦教授をはじめ、特任教員である羽鳥賢一先生、ミヤケツトム先生、齋藤潤先生、清水創太先生、石岡良子先生らとは、時に一期生としてプログラムの方針を巡り議論を交わすこともあった。そうした学生の傲岸な意見に対し、暖かい寛容さと驚くべき柔軟さで対応して下さったことには、感謝の念に堪えない。
五年間のプログラム修了は、「完成」とは言い難く、「仮免許」のようなものと考えている。今後も自己の研鑽を忘れず、お世話になった方々からのご期待に少しでも応えられるよう精進したい。

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