RA(修了生)

段 牧

主専攻
修士(工学)
修士(商学)
博士(工学)
副専攻
商学研究科 修士(商学)
研究テーマ

建築・都市防災、企業倫理、CSR

趣味
ポーカー、スポーツ観戦(アメフト、野球など)、飲み歩き、映画鑑賞

5年間を振り返る

リーディングプログラムに応募したきっかけは,本当に単なる偶然だった.修士課程に進学した当時,周りに流され淡々と修士課程を過ごし,皆と同じように就職活動をしてそのまま社会に出るというのはどうにも面白くないなと漠然と感じていた.かといって,海外に行って自分を鍛えたり,ベンチャー企業に飛び込んで自分の能力を高めたりする勇気もなかったと思う.ましてや,博士課程に進もうなどとは全く考えていなかった.そのようなもやもやした気持ちを持っていた中,応募締切の数日前に指導教員から複合領域型リーディングプログラム(慶應のもう一つのリーディングプログラム)の案内を渡された.興味本位で検索してみたところ,「超成熟社会発展のサイエンス」という聞きなれない言葉のプログラムが出てきた.HPを見ても「超成熟社会発展のサイエンス」とは一体何なのかよく分からなかったが(正直今でもよく分かっていないが・・・),プログラムの中身は非常に魅力的であり,迷わず応募を決めたことを覚えている.今になって思えば,よく分からないプログラム,しかも博士課程一貫で5年間を要するプログラムに応募するのは勇気のいることだと思う.そこに迷わず踏み込めたのは,このままじゃダメだと漠然と思う気持ちがあったからだと思うし,あの一歩が自分を変えるきっかけになり,今の成長につながっているのだと思う.
私が本プログラムで特に魅力的だと感じたことは三点ある.一点目は非常に多くの海外経験をつめるということである.私自身もこの5年間でリーディングプログラムのRAとして,おそらく普通に修士課程,博士課程を過ごしていたのでは不可能なほど多くの海外経験をつむことができた.RAとして採用された時点では英語能力も全くと言っていいほど不十分であったが,初年度の英会話コースである程度の下地を作り,その後短期インターンシップで1ヶ月間,海外の地で過ごしたことで英語に対する壁もなくなり大きな自信が生まれた.そのおかげか,この5年間で行った学会発表の9割は国際会議であり,海外の研究者との間に多くの交流を生むことができた.本プログラムの海外経験の2つの大きな目玉は海外インターンシップと短期留学である.私は1年目の終わりに,インターンシップで米国サンフランシスコに1ヶ月滞在し,イベント情報などを掲載するWebサービスの会社で記事の執筆などに携わった.そして4年目の秋には米国スタンフォード大学への半年間の短期留学のため,またもアメリカ西海岸に行くことになった.3年間でサンフランシスコの街は大きく変化していなかったが,私自身は大きく変わっていたと思う.1年目のインターンシップの時は,右も左も分からない状態であり,仕事も与えられた業務をこなすので精一杯であったが,短期留学に行った際には研究プロジェクトについて提案をしたり,様々な講演会やイベントに自ら足を運んで情報収集をしたりと精力的な日々を過ごすことができた.
二点目は異なる分野で副専攻修士を取得できるということである.はじめは,本当に3年間で2つの修士号を取ることができるのだろうか,忙しすぎてパンクしてしまうのではないだろうかと思っていた.また大学からずっと理工学系分野しか学んでこなかった自分に人文学系分野で果たしてよい研究成果を生み出すことができるのだろうかといささか不安にも感じていた.しかし,実際に学んでみるとこれまで知らなかった知識に触れることがとても刺激的であった.私は商学研究科に入って経営学を学んだが,より現実社会に近い学問であるために私の知的好奇心は大いに刺激され,新しい分野を学び,研究することの楽しさに気づくことができた.もちろん,副専攻での研究は簡単なものではなかったが,研究に対する姿勢や進め方など異なる分野であっても共通することが多いということも分かったし,新しいことを学び,疑問を持ち,研究をするという過程を経験できたことは大きな糧になったと思う.これからのキャリアで新しいことを始める機会は幾度となくあると思うが,副専攻での学びで得られた経験は必ず役に立つであろうと感じている.
そして三点目は様々なバックグラウンドを持った人々との出会いである.本プログラムは学内の全研究科から学生を募集しており,人文学系や理工学系から医学薬学系の学生まで多岐にわたる学生が在籍している.また学生だけではなく,産業界からも様々な業界で活躍している方々がメンターとして参加している.これは,普通に修士・博士課程に在籍している限りはまずありえない環境であろう.自身の研究についてプレゼンを行うプログレスミーティングや,メンターとともに「超成熟社会の発展」につながる課題解決の提案を行うグループプロジェクト演習では,異分野の方々が持つ新しい視点から多くの意見をもらい,新しい発見があったり自身の視野を広げたりすることができた.
最後に,本プログラムに関わってきた全ての方々に心から感謝の意を表して本稿を締めたいと思う.特に,5年間苦楽をともにしてきた同期の8人とは研究や将来に関することを語り合ったり,愚痴を言い合ったりと多くの時間をともに過ごしてきた.時にはぶつかり合うこともあったが,お互いに励ましあってきたからこそ最後までやり遂げることができたのだと思う.来年からは皆別々の道に進むことになるが,社会のリーダーとして活躍し,そしていつの日か皆と再び一緒に仕事ができることを楽しみにしつつ,私も日々邁進していきたいと思う.

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