脱「井(日本)」の中の蛙のススメ

鈴木 敬和 理工学研究科博士課程2年,RA2015
留学先:マサチューセッツ工科大学化学科
期間:2018年10月―2019年3月

1.主専攻の研究分野

理工学研究科でフェムト(10−15)秒レーザという超短光パルスの応用研究として超高速連写イメージング法(STAMP)の開発とその応用に取り組んでいます。私の手法では、従来のイメージングセンサを使う高速カメラでは計測が困難なナノ秒よりも速い物理現象を一度の計測で最大25枚まで連写撮影が行えるため、レーザ加工や不可逆な高速現象のメカニズム解明に有用なツールになります。STAMPを用いることで明らかになる高速現象の計測・解明を進めています。

2.今の留学先を選んだ理由

MITのNelson研は長年に渡り、超短パルスレーザを用いた超高速分光研究に関して世界トップの研究を行なっています。近年では、光と電波の間に存在するTHz波長帯を用いた不可逆な超高速現象の研究をしており、私の手法を用いることで有用な計測を行える可能性が高く、visiting studentとして共同研究を進めることになりました。また、実験設備に関しても、フェムト秒レーザ増幅器(2018年度ノーベル物理学賞)を複数台(1台約3000万円)有しており、非常に恵まれた環境であるのも魅力でした。

3.留学により実りのあったこと及び困難な経験

日本の中で過ごしているだけでは知る由もなかった発見が多くあったのが今回の短期留学でした。米国においては、想像以上に他のアジア圏(中国、韓国)からの学生に比べ正規の日本人学生が圧倒的に少ないことを実感しました。海外留学は学費が非常に高いというのは学部の話で、博士課程ではむしろ研究室の先生から給料をもらって研究をするのが一般的であることなど、実際に米国に来て、様々な国籍のPhDの学生たちと話してみることで大学と博士課程での海外留学では学費や金銭補助に大きな違いがあることを知りました。また、個々人がしっかりと自律したリーダーシップを持ち研究生活を行なっていることがとても印象的であり、負けていられないと感じました。私のように実情を知らないのが大多数の日本の大学生、院生だと思われますので、帰国後は少しでも多くの人に得た情報、経験を伝えたいと思います。
一方で、日本人の研究者や実務家が集まるイベントがボストンでは定期的にあり、オールラウンド型の本プログラムの水飲み場効果で得た知識や学びを実感する場面が多々あり、様々な分野で海外に来ている日本人が感じた「外」からみた日本を共有するということが大きな経験になりました。研究面においては、日本語が全く通じない環境で研究を進めるということが初めての経験でしたので、英語で伝えるのが難しい場面もあり苦労しましたが、日々とても刺激的な研究生活を過ごせました。

図1:MITのドームの前にて
図2:MITのキャンパス(その1)
図3:MITのキャンパス(その2)
図4:グループミーティングでの研究紹介
図5:モダンオプティクスのセミナー
図6:レッドソックスのワールドチャンピオンパレード
図7:化学科のホリデーパーティ
図8:ボストン名物ロブスターサンド
図9:週末にボストンの有名な地ビール(サミュエルアダムズ)の醸造所見学
図10:雪のボストン
図11:夜23時過ぎのMITキャンパス
図12:レーザ実験室にて