2018年6月30日(土)、本プログラムの活動拠点日吉西別館にて、エリーパワー株式会社代表取締役会長兼社長の吉田博一氏より、ご講演を賜りました。
吉田氏は、1961年に慶応義塾大学法学部法律学科をご卒業後、株式会社住友銀行(現三井住友銀行)に入行されました。様々な支店でご経験を積まれた後、人事部長、常務取締役、専務取締役、副頭取を経て、住銀リース(現三井住友ファイナンス&リース)の社長・会長を歴任されました。2003年には慶応義塾大学大学院、政策・メディア研究科の教授にも就任されています。電気自動車開発プロジェクトを統括されたご経験から電力貯蔵用大型リチウム電池イオンの必要性を実感されたこと、環境問題に貢献したいという強い思いから、69歳で装置産業ベンチャー企業「エリーパワー株式会社」を創業されました。
吉田氏には、エリーパワー株式会社の創業・経営に対する熱い思いを含めて、安全性の高いリチウムイオン電池開発への取り組みをご講演いただきました。吉田氏が繰り返し仰った言葉が、「想い」と「心」です。「想い」とは創業の際に抱いた「世界一安全な電池を作る」という強い気持ちを指します。「心」とは企業のカルチャーであり、エリーパワー株式会社では、人類に役立つものを作ること、長い目で見て考えること、信用誠実であることなどを指します。「企業が続いていくためには想いと心がなくてはいけない」という言葉からも、吉田氏が熱意と誠実さを大切にして歩んでこられたことが伺えました。
またご講演の中で印象的であったのは、「リチウムイオン電池の危険性」という高い壁が出現した際に「安全性さえ実証できれば世界一になれる」と発想されたというお話でした。一般的にはリスクや困難でしかないことを、味方につけて武器にしていこうと考えることは簡単にできることではないでしょう。そのポジティブで柔軟な発想と、力強く芯のある想いがあったからこそ、これほど素晴らしい取り組みを実現させることができたのだと感嘆させられるエピソードでした。この柔軟性とパワフルさを身に付けることは容易ではないでしょうが、「皆さんにはいっぱいチャンスがある」というメッセージを胸に、熱い気持ちで「超成熟社会発展」に向き合っていこうと改めて思いました。
(Texted by:RA7期生 社会学研究科修士1年 土井 梓)
吉田 博一 氏
エリーパワー株式会社 代表取締役会長 兼 社長
HP: http://eliiypower.co.jp/