経済産業省 商務情報政策局 商務情報政策統括調整官 吉本 豊氏
「国家的リーダーの育て方を考える」

2018 年 6月 2日(土)、本プログラムの活動拠点日吉西別館にて、経済産業省商務情報政策統括調整官の吉本豊氏よりご講演を頂きました。

吉本氏からは、NEDO欧州事務所長を務めたパリ在住時代に目の当たりにした、フランスの「国家エンジニア l’ingénieur d’État」教育の実態についてお話していただきました。


フランスでは一握りのエリート企業経営者を国が育成しています。フランスの高等教育では大学入学資格者のうち1割にも満たない数が難関試験を潜り抜け、所謂”University”とは異なる高等教育機関(グランゼコール)に進みます。その中でも最難関とされるのが、理工系専門学校“エコール・ポリテクニーク“(通称”X”)です。元は工兵隊養成学校でしたが、現在でも陸軍に所属しており、知力だけでなく体力やリーダーシップも要求されます。
卒業後は専門性を伸ばすため、専門学校に進みます。その中でも最優秀の成績を収めた上位数%のみ”X-Mines”と呼ばれる学閥であり、ここを卒業して初めて国家エンジニアの称号を得ます。国家エンジニアの称号を得た後は政府部門で高官として勤務した後、適性をもとに産業界転身・政府残留・研究職に分けられます。産業界へ転身組は将来の経営者として帝王学を授けられ、およそ10年で社長に昇格します。リーダーとなるべく鍛え上げられた彼らは、その他大勢とは異なるキャリアパスを歩みます。”X-Mines”出身者として数学者のアンリ・ポアンカレやルノーのカルロス・ゴーン社長が日本では有名です。

講演の中で特に印象に残ったことは、フランスにおける“エンジニア”のリスペクトの強さでした。エコール・ポリテクニークの学生は毎年7月に行われるパリ祭の軍事パレードに参加できる唯一のグランゼコールで、街角では至る所で市民から写真をせがまれるそうです。知力・体力・リーダーシップに通じる彼/彼女らは正に国家を代表する存在であると、強く感じました。

科学技術の発展した現代において、国家や企業を経営する優秀なリーダーを国家の責務として養成しているフランスのような国と渡り合うために、日本ではリーダーを誰がどのように育てるべきなのかという問題は、グローバルリーダーを目指す我々RA一人一人が考えさせられる内容でした。我々RAは “次代の博士人材”を目指すべく、知識・経験に裏打ちされた専門性を培うことはもちろん必要です。しかしそれだけでなく、世界各国の競争相手についてよく知り、“自分たちに出来ることは何か“を常に考え、自分たちでしか出せない価値を創造していくことが必要になると感じました。

(Texted by:RA7期生 経済学研究科修士1年 柴辻 優樹)

吉本 豊 氏
経済産業省商務情報政策統括調整官
HP: http://www.meti.go.jp/intro/data/akikou08_1j.html