修了生座談会 第4章

4.より良いプログラムを目指して

司会:神成みんなが偉くなる頃まで、皆さんの活躍ぶりを見届けることができればと思っています。是非とも、小さく固まらずに機会があったらどんどん発展するように挑戦してください。本プログラムは、グローバルなリーダーを目指しているので、グローバルに世界に出ていくような、そういうチャンスがあったら逃さないでもらいたいなと強く思います。
最後に、我々のプログラムへのアドバイスをいただきたいと思います。足りない部分も多々あるし、これは要らないなという部分もあるかと思います。足りないなというのは語学力かも知れません。海外インターンシップや短期留学への派遣、海外学会発表での派遣などは支援でできますが、語学研修それ自体は、プログラムで5年間通して用意するのは難しいので、皆さんが自ら必要性を認識し、自己研鑽に励むことが重要かと思います。語学のことはさておき、プログラムの中で、もっと必要だというもの、これは要らなかったというものをざっくばらんに言ってもらいたいなと思うのです。これはもうランダムに言っていただけますか。

短期留学について

学生Aよかったところですが、私は一番成長できたかなと思ったのは短期留学です。留学にかかる費用と手続きの案内をサポートしてもらえたことがよかった。
司会:神成半年は短いですか。

学生Aもしも留学が1年間だったら、後期博士課程の2年間の内、1年間を留学が占めるわけで、これではドクターを取るのは厳しい気がします。その意味で、私は半年でちょうどよかった。

学生B短期留学は、経験としての価値はあるけれども、どこどこに行ってきましたと言えるほどの期間ではないと思っています。学位をもらえる期間ではないし。

学生Cただ、ケースによっては、半年でも一定の成果を出せる場合もあります。私の場合は、教員同士が知り合いなので、姉妹研究室みたいな所に留学しました。博士論文とは違った視点で研究し、それでも半年で特許にできる成果は出せたので、よかったと思っています。
司会:神成短期留学の成果を、博士論文に反映できた人はいますか。C君の場合は、本学の指導教員と海外大学の指導教員が共同研究していて、その枠の中で留学したのでしょうか。

学生C共同研究契約レベルのものではないです。私が向こうの先生とあるテーマでコラボレーションしたらおもしろいのではないのかと提案したところ、賛同いただいたので、コラボレーションのプロジェクトを立ち上げました。今まさに私はインターナショナルペーパーを書いているのですけれども、それが博士論文に入るような感じでなっています。
司会:神成D君はどうですか。

学生D私は留学するにあたって事前に、主専攻の指導教員が紹介してくれたスタンフォード大学の研究室を一度訪問しました。そのときに、自分が取組んでいた研究の内容を説明した上で、その研究をアメリカでそのままやりたいという話をしました。そしたら、すごく興味を持ってくれて、ぜひ一緒にやりましょうということになった。そこで、私は日本でやっていたアンケート調査の結果を留学先に持参し、先方と向こうで先生と毎週ディスカッションしながら、いろいろアドバイスをもらい、自分で博士論文の構成を組み立てていきました。もう完全に日本での研究の延長線上でした。多分これは分野にもよると思いますが、私のケースでは、シミュレーションとか確率統計を使って分析するという手法が中心であり、実験はなかったので、すんなりと行ったのではないかと思います。
司会:神成6カ月の留学の中で完成したものがあれば、それを博士論文に取り込むという感じですか。

学生Dそうですね。多分そうだと思います。留学の6カ月が短いという話が先ほどありましたが、私のケースでは、6カ月だからこそ、こちらのプロポーザルも聞いてくれて、私の博士論文のテーマで研究できたのではないかと思います。先方は研究費を出すわけでもない。通常の米国留学だと、先方に学籍があって、例えばコンピューターサイエンスの分野では、学生はアメリカの教授の労働者みたいな形になります。だから、別に自分の好きな研究をできるわけではなく、先生の指示に従って研究することになります。どちらがいいかというと、それは一概には言えないけれども、今回、6カ月だった点もあってそこは自由に設定できたのではないかと思います。

MMDについて

司会:神成留学は皆さんにとって役に立ったようで、よかったと思います。本プログラムの目玉は、MMDとメンター制度と短期留学であると言えます。でも、留学というのはどこのプログラムも設けています。留学資金が確保でき、そしてコネクションで留学先を探してくるということさえできれば、どこのプログラムも取り入れられるわけです。
一方、メンター制度というのは、どこのプログラムも導入したいと思っていますが、なかなか我々のレベルのメンターの方々を、多数採用するのは本当に難しい。まねしようと思ってもまねできない状態です。よって我らのプログラムの2本柱は、MMDとメンター制度(それによって実施されるグループプロジェクト演習(以下、「GPE」という))であると言えるでしょう。

学生EMMDに関しては改善点を感じます。というのも、自分自身の経験としてやったことはすごく価値があることですし、すごくよかったとは思います。一方で、事務的なプロセスが非常に多いと感じます。副専攻の先生の指導の下、研究をし、その先生と一緒に共同の論文を書いて出せばよいことなのではないでしょうか。それを超えて、修士の学位まで必要となってくると、審査などが絡んできます。学則に縛られてしまうという問題もあります。そこに時間がかかってしまって、ほかのことに割けない。主専攻、副専攻の研究、およびGPEを三本柱とすれば、主専攻はドクターの学位を取るので中途半端ではないですが、副専攻の修士号取得とGPEは若干中途半端になる気がします。
そのGPEについて、最近思うのは、実際に外にフィールドワークに出ていって調査することがなかなか難しい。この間も全体会議のときに、インターネットベースの検索ばかりになっている旨、指摘がありました。外に出て行く時間がないのです。自分でも検索して出てくるものを使って、何とか見栄えを良くすることで、しのいでいるようなものです。

学生F例えば2期生のX君はすごいなと思っているのは、がんの予防プロジェクトで八王子市と一緒にやって、いろいろな企業を巻き込んでGPEをやっています。ああいうパターンが、1期生はなかったような気がします。もしもMMDの負担のためにそれができないのであれば、我らが目指すスーパードクターの育成という観点で見たら、MMDは見直してもよいのではないでしょうか。
司会:神成文理融合というのを、明らかなシステムとして実現するために、敢えてほかの専攻に籍まで移して修士号を取ることにしました。修士号は、履歴書にも書ける明確なエビデンスになります。逆にそこを曖昧にして、単位をとるだけの緩い形にしたときに、皆さんがどれくらいガチっとやってくれたでしょうか。結果的には、ガチっとやった方が1期生からみても、プログラムの構成上も、よかったのではないかなと私は思っています。1期生は、初めてMMDにチャレンジしたので大変でした。2期生以降は、基本的にまねをしていけばいいという形になってきているので、それほど難しい話ではないと思います。

学生EMMDをするのだったら、MMDDまで進めたらどうでしょうか。副専攻について、Dをもう一個取るとインパクトは大きいのではないでしょうか。
司会:神成医学博士のMDとPhDの組み合わせは良いとしても、PhDが2つあっても余り意味を持たないのではないでしょうか。もし取るとしても、プログラムを出た後ですね。

メンター制度について

司会:神成メンターの話はどうですか。GPEのプロジェクトというものは、学生が自分でテーマを探しているということもあり、飽和しがちです。もしも、それが会社から提示されたテーマであれば、必要性も、時間的なスケールもあるので、もっといいものになったのではないかなと思います。また、GPEを介して産業界の方々と触れ合うという5年間があったということは、それなりに意味があるのではないかと私は思います。そういう大人の人と5年間もつき合ってきたということに関して、価値観的なものはどうですか。

学生A将来のキャリアパスにかかわる決断ができたので、私はメンター制度には大賛成なのです。特によかったなと思うのは、企業の役員クラスや部長クラスの人が、5年間という長期で学生を見てくださったことです。
これは、坂本君が普段から言っていることですが、私はすごく納得しています。学生の中には、もしかしたら当たり前のように思っている人がいるかもしれませんが、このようなことは普通、絶対にないことだと思います。それがキャリアパスにも繋がっていきます。一方、5年間ずっと同じ人についてきているので、そこはもう少しフレキシブルにできる部分があってもよかったのかなと思います。両方の良い面、悪い面はありますね。

学生Bメンターの方々は優秀です。しかし、GPEのゴールは政策提言なのです。そこに民間の企業の人が関わることの意味というか、価値が正直私はよくわからないのです。企業からご来学いただいて、その産業界や社会の課題を検討するのであれば、政策提言ではないように思います。よって、メンターとして、社会の問題点等について、メンタリングしてもらえたらと思います。特に、2年目まで。
司会:神成メンターの方々も、1年目、2年目というのが非常に重要で、そこのところはメンターも動かさないで徹底的に指導したほうがいいという意見です。その後は、学生自体が成長して、自らメンターみたいになっていくので、やっていることが近い人同士でやってくれればいいし、メンターはそれに対してアドバイスなどをするという役割に徹するくらいでいいのではないかと思います。メンターの人たちは、リーディングに入って1年目、2年目の、右も左もわからないような学生さんに対して、物事を考えていく、作り上げていくという姿勢を社会人の目で指導する、そこに価値観を置いているようです。多分皆さんと言っていることは同じだと思います。

学生C本筋と外れるかもしれないのでが、メンターの人の人脈がすごくありがたかったという経験があります。メンターの高橋さんのお知り合いで、製薬会社のニューヨーク支社の方に短期留学中にお会いでき、石川さん経由でIBMのヨークタウンでワトソンを見ることができ、鈴木さんに味の素など、いろいろな企業に繋いでもらった経験があったので、すごくよかったなと思っています。

学生D先ほどの質問で思い出したのですけれども、去年、東京国際フォーラムで本学のシンポジウムを開催した際に、夕方の意見交換会でミネベアから来ていた方が、ここの学生は本当に変わっているねといいました。こういう懇親会では、日本の学生は、自分たたちだけで輪になってしまい、企業との会話がない。一方、本学のリーディングの人たちは、学生のほうから、がんがん来る。思わず、会社側が引いたぐらいだよという話をしていました。本プログラムの学生は、メンターの人と日ごろ話していて、偉い人たちと話すことになれている。どういうことに問題意識を持っているかなども共有しているので、一気に話を突っ込めるところがすごいと思っています。

学生E結構一緒に飲んだりします。土曜日のGPE終わった後なので、我々の場合はアフター6ですが。飲むメンターと飲まないメンターがいるのは、しょうがないことですが、それによって仲よくなるメンターもいるし、なかなか御近づきになれないメンターもいます。GPE以外でも、もっとコミュニケーションできる場があったらよいと思います。

学生Fメンターとのコミュニケーションに関して言えば、1人のメンターのところにずっといるということに、拘わらなくてもよいと思います。この間のホームルームで提案されていたように思いますが、今は5年間、基本的に同じメンターにつくところ、毎年希望をとって、配属を決めてもよいのではないでしょうか。リーディングはもともとアジャイル型で、ぐるぐる短い単位でいろいろなことを回していって改革しながらやっていくものだと思うので、メンターも回していくほうがよい。メンターの方々はそれぞれ違う企業から来ていて、且つ多様なご経験された方が多いので、むしろできるだけ多くのメンターに出会い、ご指導いただけることが大事だと思います。1つの企業の話だけではなく、いろいろな企業の話を聞きたい。その為には、毎年、年度始めに配置換えしてもいいのではないかと思う。
学生G1年間は同じメンターの下で指導を受け、次の1年間は、先のメンターから学んだことを使って次に行く。このぐらい回転を早くして回していくというのも検討していいかなというように思いました。
学生H私は、基本的には個人で自由に回転してよいと思っています。
司会:神成ある意味、それを制度的にすべきでしょうか。制度的に2年目から集中してしまったりすると、学生が行かないメンターとか出てきてしまうのではないかな。
学生Iルーレットで配属を決めてもよいのではないでしょうか。要するに、リーディングの5年間に5回、いろいろなメンターに指導を受けられるよう、アサインしてもいいぐらいだと思います。
学生J1つ危惧するのは、メンターが変わると、そこにいってまた自分のやっている今までのことを説明するのに時間がかかってしまって、進捗の妨げになることがあるかも知れない。そう言うことのないような配慮が必要かと思います。その意味では、1人のメンターにある程度ついて、最終出口である政策提言に繋げることが考えられる。
学生K最後の政策提言に向けて自分で頑張るのは、最後の2年間ぐらいとする。その前の3年間は、メンター1人に対し3人程度の学生がチームを形成して、同じテーマで検討する。それこそグループ型のプロジェクトで各自分担をして、同じ成果物をつくり上げる。それを3年間で3セットやる考え方もあるかと思う。
企業のプロジェクトで、こんな風にやっているケースがある。1年目は、まず一番下の立場でチームワークに係り、2年目は一段上がり、3年目は指導の立場でチームをまとめる。

学生L政策提言の性質を考えると、講演に来てくださった日本総研や三菱総研の方などの話を聞いていても、政策提言のスパンというものは結構短い。半年間などでぐるぐる回すのは普通かもしれない。GPEの検討を開始後1年目に持ったすごい問題意識とか解決策は、5年たったらどうしても色あせてしまうのです。成果物を政策提言とするならば、なおさら1年で、回転率を上げていったほうがよいのではないでしょうか。ただ、プログラムに入った1年目から余り政策提言は意識しなくてもいいかもしれないと思う。

学生M私たちが1、2年目のときは、社会問題は何だろうというぐらいのことしか考えていなかったと思う。社会問題というのはこういうのがあるのですよとか、どういったものに興味がありますか、どういったところを問題に考えますかというところを醸成するのが1年目の目標とする。最終的にそれを利用して自分なりの政策提言に取り組むことを最後の1年、2年でやるというのがいいかなと思います。
ただ、先ほどのお話に戻すと、神成先生がおっしゃったように、ぐちゃぐちゃメンターを変えていると進捗発表はできなくて成果が出ないという、私も確かにそのとおり、そういう側面もあるかなとも思う。やり方として思っているのは、例えば毎月1回、シャッフル例をつくるとか、それもメンターに対して学生をシャッフルするのではなくて、グループは一緒。同じグループの学生のメンバーに対して、メンターだけ変わっていただく。その日は、2限の限られた時間の中で、メンターに自分の考えていることと自分がやりたいことを簡単にプレゼンしてフィードバックをもらう。それだと伝わらないよとか、指摘を受けるかもしれない。コンテクストを共有していない人に対して自分のやりたいことを説明するという能力もつきます。さらには、いろいろな背景を持つメンターからいろいろな側面からのアドバイスをいただけるというメリットもあるので、そういったことを月に1回ぐらいするのはおもしろいかなと思います。
司会:神成わかりました。実は秋に向けて、GPEの運用を少し変えていくことを考えています。今日は、非常にいい提案をいただきました。リーダー育成ということを考えるべきというメンターの方もいます。普通の社会に出るための訓練であれば、グループでやるのも良いでしょう。でも、リーダーの重要な資質の一つとして、1人で1つのことを最後までやり抜くことができるということが大事で、その育成を図るという考え方もあります。

タームペーパーについて

学生Aタームペーパーは今、中途半端だと感じています。ジャーナルまではいかないかもしれませんが、そういう出版物みたいな形で、学期毎に1回出してまとめた方が、しつかりする。雑誌や電子ジャーナルに掲載でも良いですが、そこまでやらないと中途半端になるように思います。
司会:神成タームペーパーは、春・秋学期のGPE活動の成果として提出して貰っています。

学生Bそうです。最後の政策提言は別として、タームペーパーは活動報告みたいな感じになっていると思います。活動報告なら活動報告でいいと思いますが、それをしっかりと出版物の形式まで持っていかないと、中途半端になるように感じました。
司会:神成出版物にすれば、その時点で閉じるという意味では、良いのだけれど、そのために追加的に必要となる労力に対して、誰が読むのかということも考えるべきではないでしょうか。

学生C確かに、出版というとハードルが高くなりますが。例えばホームページに短いレポートみたいな形で、アップすることが考えられる。しっかりと第3者に読んでもらえるような内容や写真など掲載して発表したほうが良いと思います。

学生D結局、プログラムの活動のエビデンスとして課しているのではないでしょうか。
司会:神成リーディングは、国費を使った活動なので、調書で計画したことをチャンとやっていますということです。皆さんに給与を支払っていますが、その成果としてのエビデンスにもなります。

学生Eホームページに載せるのであれば、タームペーパーより、留学の報告などを載せたほうが、私は意義があると思います。
司会:神成タームペーパーも留学の報告も、中身的には間違いなく貴重な内容になっていますが、タームペーパーには、活動成果として公に出すのは適さない内容も含まれていることがあります。

学生F今は、GPEテーマに1人で取り組み、1人でタームペーパーを書いている。これを数人のチームでやったら、クオリティーが上がるかも知れない。グループ型のプロジェクトでGPEを取り組むというのは、先ほど意見がありましたが、タームペーパーにも影響を及ぼします。チームによる成果の報告では、一人一人の評価が難しくなるという問題も引き起こしますね。
司会:神成では、時間も過ぎました。このプログラムを通して得られた貴重な気づき、苦労談、そしてプログラムへの要望を頂きました。皆さんの意見に勇気付けられた部分が多くありました。また、改善のためのヒントも頂きました。ありがとうございます。