ワシントン大学 今井眞一郎教授 「国際的にリーダーシップを発揮するために重要なことは何か:老化・寿命研究の最先端を交えて」

2017年5月27日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、今井 眞一郎氏(M.D., Ph.D., Professor, Washington University School of Medicine)よりご講演をいただきました。

今日本は超高齢化•少子化社会に向かっており、抗老化方法を樹立することが急務の課題であることは論を待ちません。これは全身性の抗老化を実現し、健康寿命を延ばすことを意味します。今井氏は抗老化方法の樹立に向け、アメリカのワシントン大学で老化・寿命のメカニズム解明の研究をなされており、日本での研究を含めると今年で30年目になります。本講演では世界の最先端でご活躍されている今井氏に、「国際的にリーダーシップを発揮するとは如何なることなのか」という主題のもと、ご自身の研究概要も含めてお話頂きました。

研究に限らず、ビジネス、政治においても、リーダーシップが発揮されるべき場面は多々存在します。では国際的にリーダーシップを発揮する上で重要なことは何なのでしょうか。今井氏はBig Pictureが必要であると説かれます。Big Pictureに設定すべき内容は、誰にとっても重要であることはわかるが、既存の手法の組み合わせのみでは解決が困難であるものです。Big Pictureを設定した後に、次の3つの重要な段階を繰り返していくことが必要になります。

1つ目は「Prioritization」であり、優先順位付けを指します。物事を行う際、様々な選択肢が存在しますが、何が最も重要なのかを深く考えることが極めて大切になります。例えば、今井氏は毎朝熱い朝風呂に入り、交感神経を刺激して、様々な課題の優先順位を考えられているそうです。

2つ目は「Communication」であり、重要課題の実行に必要な様々な人々との関係構築を行います。E-mail等によるコンタクトの後にも、実際に会って話をし、自分の考えていることに共鳴してくれるのか、真摯に協力してくれるのか、といった点を見極めることが非常に重要となります。

3つ目が「Organization」であり、実行の具体的な手順、時間、資金、情報を統合するプロセスです。どれだけのリソースが自分の成し遂げたいことに必要なのかを把握することが重要です。特に必要とされる時間を推定することは重要であり、自分で自分に期限を切ることが重要になります。

今井氏の研究室ではこの3つが「今井ラボのマントラ」と呼ばれているそうです。これらを毎日のように再評価、実行していくのがリーダーへの道であり、それを続けていくためにはPassion、つまり情熱が必要です。 そして、自分の抱くBig Pictureを他者に上手く伝えるために、プレゼンテーションが極めて重要であると説かれ、如何にしたら優れたプレゼンテーションを行うことができるのか、についてもお話頂きました。プレゼンテーションにおいても、Big Pictureでの3つの重要な段階と相似のものが存在します。そして、プレゼンテーションとは、「Big Pictureを自己実現していくためのステップ」であり、その一つ一つが「総合芸術」として完成される必要がある、と今井氏は説きます。

きちんとしたBig Pictureを打ち出し、リーダーシップを取っていくことで、日本も十分研究で世界と勝負することができる、というお言葉を頂いた上で、現在今井氏の研究室では抗老化がマウスにおける基礎研究の段階からヒトでの臨床実験の段階に進みつつある、というお話を聞き、我々RAは深い感銘を受け、今後の行動の指針を得ることができました。

(Texted by : RA 6期生 理工学研究科 修士1年 山口 智史)

今井 眞一郎 氏
M.D., Ph.D. Professor
Washington University School of Medicine
http://devbio.wustl.edu/faculty/faculty-members/shin-ichiro-imai