慶應義塾大学 名誉教授 荒牧 國次氏 「腐食抑制剤研究64年-定年後の研究を中心としてー」

2016年7月2日(土)、本プログラム活動拠点である日吉西別館にて、本塾名誉教授であり、定年退職した現在も精力的に研究を続けていらっしゃる荒牧國次先生にご講演いただきました。

荒牧先生は本塾の幼稚舎を卒業され、1953年に本塾の工学部応用化学科にて学士号、1966年に博士号を取得されました。以来、本塾の工学部、理工学部にて教授職を勤められ、1966年にはテキサス大学に留学もされました。1991年には義塾賞を受賞し、1997年から本塾の名誉教授でいらっしゃいます。今回は64年という長い研究生活から、荒牧先生が積んできた様々な経験をもとに、「腐食抑制剤研究64年-定年後の研究を中心として-」という題目で生涯をかけて一つのことにこだわり研究し、社会に貢献することについてご講演いただきました。

荒牧先生は、1952年の卒業論文のテーマから、2016年の今日までの64年間という長い期間、インヒビター(腐食抑制剤)という一貫したテーマを中心に研究をされてこられました。それらの研究成果は、石油・ガス井戸、製鉄所等プラント、ラジエーターの冷却水、空調機器、ボイラー、鉄筋コンクリート等、多用途に使われてまいりました。また、定年後の20年の研究生活においても、80報もの論文を投稿し、アメリカ電気化学の論文の中で昨年の4月中に読まれた論文ランキングで50位中4位に入るなど、現在も世界の一線でご活躍されています。ご講演を通して感じられたのは、荒牧先生が本当に自分の研究が好きで愉しんでいるということ、また「好きなことをする」という枠にとどまらず、社会的意義のある研究を常に行い続けてきたということです。社会的意義のある研究を行い続けてきたからこそ、そうした社会からの反応や称賛が荒牧先生を一層新たな研究に駆り立て、64年という長い期間を活動する原動力を生み出しているよう感じました。

本リーディングプログラムでは、主専攻の博士号取得のみにとどまるのではなく、副専攻の修士号の取得や、一流企業のメンターの方々とのディスカッションを通して、視野を広げたり、社会の生の問題に接したりする機会が多くあります。これは、自分の研究のみに閉じこまらず、真に社会に貢献できる博士号を持ったリーダーを育成することを目的としているからです。荒牧先生の生きざまは、ただ自分の好きな研究を自分の中で終わらせるのではなく、それを積極的に社会貢献のために発信・利用していく重要性を再認識させてくださり、「真に社会に貢献できるリーダー」を掲げた本プログラムに従事する我々を強く勇気付けてくださるものでした。

(Texted by: RA5期生 政策・メディア研究科修士1年 氏家慶介)

荒牧國次先生
慶應義塾大学名誉教授

160702_top