東京都渋谷区長 長谷部 健 氏 「目指せ!まちのプロデューサー」

2016年7月9日、本プログラムの活動拠点である日吉西別館にて東京都渋谷区長の長谷部健氏にご講演いただきました。

今回はどのようにして現在の経歴まで至ったかをご講演頂きました。長谷部氏は渋谷区原宿で生まれ育ち、小さい頃からよくメディアを通して近所を観察していました。専修大学卒業後、博報堂に就職されました。退職後は渋谷区でゴミ問題に関するNPO法人green birdを設立され、2003年に渋谷区議に初当選され、3期連続トップ当選され、2015年4月から渋谷区長にご就任されました。

長谷部氏は博報堂の中ではプロデューサー的なお仕事の多い営業を担当していたため、退職後はプロデューサーになりたいと考えていました。しかしその後どうして政治家になったかというと、近所の商店会の人に立候補を勧められたからです。最初は気が進まなかったが、区議は表参道のプロデューサーである等と説得され、とうとう30歳になった夜に無所属でローカルの代表として立候補をする決意を固めました。

長谷部氏は地域活動の一環として、表参道の商店会の活動である平日の朝の週二回の掃除に参加していました。これは掃除をしている姿を通勤する人に見せ、ポイ捨てを抑制するためのものでした。しかしながらその規模ではゴミの減り方に限界があったため、掃除をする人を増やし、捨てる人を減らす方策を考えました。ポイ捨てをする人を減らすためには「注意の仕方」が鍵を握っていると考えました。そのためには否定をせず、相手が関心を持つコミュニケーションが要であると考えました。例えば「ポイ捨てをしてはいけません。」と叱るのではなく、「ポイ捨てはカッコ悪いよね。」等です。「かっこよさ」は、表参道にたむろする若者の行動基準だったのです。そしてゴミ問題に関するNPO法人green birdを設立され、この一般の若い人が掃除をしている所等がメディアなどで紹介され、その活動が世界の80か所に拡がりました。

その後、長谷部氏は街頭プレゼンの時はなるべく迷惑にならないように心掛ける等の数々の努力の末、渋谷区議に当選されました。行政と民間の壁を取り払うこと、子供達が自由に遊べる禁止事項の無い公園を作ること等に携わりました。更に「かっこいい大人」を養成するために、渋谷区をキャンパスに見立て渋谷に住んでいる人、働いている人が生涯学習に参加するNPO法人の「シブヤ大学」にも取り組まれました。

また長谷部氏は国際都市として渋谷区を成熟させるためにはマジョリティの意識を変えることが大切であり、「交わること」が重要であると考えています。例えば障害者向けの商品をまず一般商品として売り、それを障害者の方まで普及させるというアイデアを持ったピープルデザイン研究所の代表の方とも共感し、その研究所をNPO法人化されました。障害者の人には手を差し伸べるだけではなく、社会貢献に参加するという視点で、知的障害児に町の掃除をして貰う試みを進めました。2016年にはLGBTパートナーシップ証明書を発行することも決めました。

本リーディングプログラムの目的の一つは、リーダーの資質を養成することです。今回の講演は、そのために私達が必要とする「人の心を掴むコミュニケーションの取り方」の重要性、そして人の立場に立って役に立つことがどれだけ難しいかを学ぶ大変良い機会となりました。

(Texted by: RA5期生 経済学研究科修士1年 角 晴美子)

東京都渋谷区長 HP:https://www.city.shibuya.tokyo.jp
NPO 法人「green bird」 HP:http://www.greenbird.jp