カテゴリー別アーカイブ: キャリアパス講演

東京海上ホールディングス株式会社 取締役会長 隅 修三氏 「平時の改革・グローバル化 ~逆風を追い風に~」

2017年10月28日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、東京海上ホールディングス株式会社・取締役会長の隅修三様よりご講演をいただきました。

隅会長からは、ご自身が取り組まれた国内ビジネスプロセスの抜本的改革と大胆な海外展開という2つの経営改革により、東京海上グループがこの10年余りでいかに根本的な変質を遂げたかという観点から、経験談も交えながらお話をいただきました。
隅会長は、改革を進めるにあたって、現場の仕組みから変えていくことを重視されました。それは、上から改革の掛け声をかけるだけでは現場社員の意識は長続きせず、現場の仕組みを変えることで社員の行動の変革に繋がり、行動の変革が考え方を変え、それが最終的に企業文化の変革にまで繋がっていくと考えたからだと仰っていました。

1990年代後半に保険業が自由化されて以降、業界内の競争が激化し、東京海上の社内は閉塞感に覆われるようになりました。隅会長は「このままでは会社は潰れてしまうかもしれない。」との強い危機感から、商品・事務・システムを一体的に改革する国内事業プロセスの抜本的改革に着手されました。業務プロセスをシンプル、スピーディーかつ透明性の高いものに変革していくことで、その後の厳しいマーケット環境下においても高い競争力を維持していくことができたとのことです。また、隅会長は、会社が危機に直面する前の平時から改革に着手することの重要性を強調されていました。

その後、東京海上ホールディングスは、隅会長のリーダーシップの下、グローバル展開を加速します。隅会長からは、M&Aの基本理念として、相手企業が以下の3つの要件を満たしているかどうかを基準にしているとのお話がありました。
1. 健全な経営を行なっている経営陣、チームを有している。
2. 特定の分野に強いビジネスモデルを持っている。
3. 将来の成長が期待できる。
隅会長は、M&Aはゴールではなくスタートであり、買収後も相手企業に最大限の敬意を払い、その企業文化を大切にする姿勢が重要であるとも仰っていました。

最後に隅会長は、integrity(誠実さ、高潔さ)という価値観を大切にし、ご自身の経営判断に際しては、”逃げない”、”ブレない”という姿勢を意識してきたと仰っていました。何が正解かが分からないことが多い経営に対して、真摯に、謙虚に取り組んでいらっしゃる隅会長の姿勢を、我々リーディングプログラムのRAのみならず、多くの学生、社会人が見習うべきだと思いました。

(Texted by: RA6期生 理工学研究科 修士1年 榊原 優真)

隅 修三 氏
東京海上ホールディングス 代表取締役会長
http://www.tokiomarinehd.com

株式会社OE Solutions Japan 代表取締役 陶山茂樹氏 「ヒトは失敗(経験)からしか学べない 失敗を恐れず未来へチャレンジ」

2017年10月21日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、陶山茂樹氏よりご講演をいただきました。

陶山氏は大学卒業後にNECに入社、約30年に渡り光通信のプロフェッショナルとして事業部長、研究所支配人、光通信システム事業責任者まで勤められました。そのあと、東京大学総括の寄附講座から、産学連携のベンチャーを立ち上げ、株式会社Digital Gridの代表として活躍なさいました。現在は、株式会社OE Solutions Japan 代表取締役をつとめており、大企業、ベンチャー企業、外資系企業という幅広い組織の中での経験を積まれております。

今回の講演では、『ヒトは失敗(経験)からしか学べない 失敗を恐れず未来へチャレンジ』をテーマに、陶山氏のこれまでの大企業、ベンチャー企業、外資系企業で培ったそれぞれの経験、気づきを基に、お話しいただきました。

通信バブル崩壊、グローバル化、雇用流動化など、様々な社会変動をご自分のキャリアの中で経験し、その度ごとに失敗から学び、様々な困難を乗り越えて来られました。通信ネットワーク容量の供給過剰ゆえに事業が傾き、その際、責任者として学んだことは、事業は実行力であること、誰かの力を借りることができること、そして時代認識力であると語られておりました。またベンチャーではこれまでの職場環境と異なり、立場も違う中、人を雇うことへの責任を学んだそうです。大手企業にはない尖った人材集団のマネジメントの経験は「同じ船に乗れる人で起業せよ」という言葉にまとめられておりました。現在代表取締役を務めている外資系グローバル企業では世界と日本の文化や価値観の違いを感じながらも、日本国内売上を大きく伸ばすなど、結果を残していらっしゃいます。

印象的であったのは、どの企業での経験を話すにも、「人」という言葉を繰り返し使っておられたことです。雇用流動社会を生き抜くためにも、事業を成功に導くのも、逆境を乗り越えるにも、人との繋がりの大切さを身をもって感じておられるのが、強く伝わって来ました。陶山氏のその言葉の重みは、これまでたくさんの人と出会い、仕事をし、人を動かして来られた経験あってのものだと思います。「人生は偶然と必然がおりなす」という言葉にもありましたが、陶山氏がそうであったように、予期せぬチャンスを掴めるよう、このようなリーディング大学院のような機会を含め、自分から行動し、新たな世界へと積極的関わりに行き、時代を認識し、人と繋がって行きたいです。

(Texted by:RA6期生 早坂若子)

陶山茂樹氏
株式会社OE Solutions Japan 代表取締役
http://www.oesolutions.com/main/view/

昭和女子大学 理事長 坂東 眞理子氏「 公務員から大学へ」

2017年10月14日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、昭和女子大学の理事長・総長をされている坂東眞理子さんよりご講演をいただきました。

今回の講演では、坂東氏ご自身のキャリアパスについてお話しいただきました。坂東眞理子さんは、富山県出身で地元の進学校を卒業された後に、東京大学に進学し、大学卒業後、1969年に総理府(現在の内閣府)に入省しました。当時、女性が中央官庁に入省するのはまだ珍しいことでした。それは当時の日本の就職活動において、女性差別がまだ残っており、男子学生の採用が優遇されており、女子学生には能力があるにも関わらず、門戸が開かれていなかったからです。
その後、1975年に総理府婦人問題担当室(現内閣府男女共同参画局の前身)が発足した時に最年少の担当官としてその活動に参加され、1978年に日本初の「婦人白書」を執筆されていました。坂東眞理子さんは当時男性優位の職場の中で、婦人の地位向上に向けた施策の実現に果敢に挑戦されて来られた点が印象的で、今では当たり前になった両性の平等、性別にとらわれない自己実現といった理念は坂東氏等先達たちの努力のおかげであることが実感されました。
1980年より坂東眞理子さんはハーバード大学に留学され、総務庁統計局消費統計課長,埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事、内閣府男女共同参画局長を経て、2003年に内閣府を退官されました。これらの多様なキャリアパスにおいて、それぞれの経験がいろんな形で生きたとのことです。現在理事長・総長を勤められている昭和女子大学においても、テンプル大学日本校を誘致するなど、新しいチャレンジを続けておられます。

日本社会において、男女間賃金格差や女性政治家の少なさなどの様に、男女格差がまだ存在している中で、それらを打破するための示唆に富むお話を多く伺いました。今後の日本社会において、人々が性別含め様々な障壁を感じることなく、各人の望むように働き、自己実現していくにはどうすれば良いのか、改めて考えるきっかけとなった有意義な講演でした。

(Texted by: RA6期生 法学研究科1年 丁飛)

坂東眞理子氏
昭和女子大学 理事長
https://univ.swu.ac.jp/guide/introduction/message_c/

Pacific & Atlantic PM Innovation代表 田中弘氏 「慶應義塾卒プロジェクトマネジメント界グローバル・プレイヤーからのメッセージ」

2017年10月7日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において,田中弘氏よりご講演をいただきました.

田中氏は本学法学部出身(1967年)であり,日揮株式会社にて本部長代行・子会社役員まで務められ,兼務で,日本プロジェクトマネジメント協会の創設者で代表を14年間並びに世界プロジェクトマネジメントフォーラム第3代会長,フランス,セネガル,ウクライナ,ロシア,日本の大学院教授を歴任されるなど実に様々なバックグラウンドを持っています.
田中氏は,これらの多様なキャリアに基づいて現在取り組まれている4つのプログラム,アカデミックとしての目標・信条,社会人3ステージ・キャリアの由来,そしてご自身が現在の日本の高等教育についてどのように考えているかについて熱意を込めてお話ししてくださいました.

現在,田中氏が取り組まれているプログラムは主に,
① 大学院教育プログラム
② 日本政府外郭団体主催海外人材育成プログラム
③ 世界PMコミュニティーとしてのコミュニティー貢献プロジェクト(世界大会での基調講演等)
④ 元指導学生等の研究者スタートアップ支援
の4つであると仰ってました.

田中氏は,大学院教育プログラムの一環としてフランスのグランゼコール SKEMA Business School,Ph.D./DBA Programme国際教授として博士課程の学生のご指導をされており,指導教授として5名のPh.D.を輩出されております.海外人材育成では,Program & Project Management Course Directorとして経営者・ミドルマネージャーの研修を2009年から実施されており,現在も継続しています.また,元学生の就職支援にも大変熱心に取り組まれており大学に教員として就職したい学生のための推薦状の執筆・コーチングにも注力されているとのことでした.PM理論におけるTeaching Professorとしては,世界トップ5に入る権威者であり,エンジニアリング&コンストラクションプロジェクトのPM理論研究のパイオニアとして現在も活動を続けられています.

田中氏は「何事にも挑戦することが大切である」と強く主張されており,ご自身の実に多様なバックグラウンドに基づいて,その重要性について熱弁してくださいました.田中氏のキャリアパスは一般的なキャリアパスとは大きく異なり刺激的なものであり,「プレイヤーとしての意識を持っている」と終始仰ってました.我々は現在大学院で教育を受けている身であるが,非日常的な環境に積極的に身をおく必要性があると強く感じました.

(Texted by: RA6期生 理工学研究科修士1年 黒部聡亮)

田中弘氏
Pacific & Atlantic PM Innovation代表
International Professor, DBA in Strategy, Program and Project Management Program, SKEMA Business School (France)
Dean, PhD Program, CASR3PM Graduate Academy (Senegal)
Professor of Honor, Kiev National University of Construction Architecture; National Shipbuilding University named after Admiral Makarov; Odessa National Maritime University (Ukraine)
国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学知識科学系非常勤講師(2017年5月まで客員教授)
公立大学法人岡山県立大学教育開発センター客員教授(大学院共通科目担当)
Course Director, Program & Project Management, The Association for Overseas Technical Cooperation and Sustainable Partnerships (AOTS)

東京インターナショナルスクール理事長 坪谷ニュウエル郁子氏 「教育は世界を変える」

2017年9月30日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、東京インターナショナルスクール理事長をはじめ、さまざまな教育機関や団体で役職を務められている坪谷ニュウエル郁子氏にご講演いただきました。

坪谷氏は学生時代から事業運営に創意工夫と行動力を発揮されるとともに、生きることについて深く考える中で教育の道に進んでいったそうです。その後英語学校であるイングリッシュスタジオの設立を出発点として、東京インターナショナルスクールをはじめとする教育機関や団体を立ち上げられ、現在まで幅広く教育活動に取り組まれています。活動を通じて立ち上げられた教育機関のひとつであるインターナショナルセカンダリースクールでは、発達障害を含め多様な生徒の個性に合わせた教育も行っていらっしゃいます。
インターナショナルスクールに通う生徒は、保護者の転勤等により複数の国々の学校で学校生活を送ることも少なくありません。そこで、どの国に行っても通用するカリキュラムとして坪谷氏が注目されたのが国際バカロレアです。
国際バカロレア (IB) は、まさに世界共通の成績証明書を実現することを当初の目的として開発された教育システムで、生徒を主体とした独自の全人教育が特色です。例えば、6つの領域を学ぶ小学校のプログラムでは、個別の事例としての「トピック」についての学習に留まらず、普遍性のある「概念」のレベルまで洞察することが求められるそうです。特にこの概念学習の考え方に関心を持つRAは多く、ご講演の最後には様々な質疑応答も交わされました。
坪谷氏は国際バカロレアの普及に長年尽力され、これまでに国際バカロレア機構の日本大使 も務められています。
坪谷氏の取り組みのひとつに、これまで欧米の数カ国語のみで受験可能だった国際バカロレアの卒業試験の日本語による受験の実現があります。実際に現在たくさんの科目が日本語で受験可能になっていますが、取り組みの理念として、言葉が文化と歴史を背負っていることや、経済事情や居住地域による格差をなくしていくことを挙げられていました。また、経済面についても支援の取り組みを進められており、徹底した課題解決中心主義を感じました。
さらに、教育再生実行会議の委員としての経験を交えつつ、日本の教育の問題についてもお話しいただきました。その中でも、全ての子供たちの能力を伸ばす、という実行会議の教育提言の理念を実現するために、発達障害等のある子供のための通級指導の予算獲得を実現して実態の改善に繋げられた経緯からは、坪谷氏の情熱と努力が伝わってきました。
日本の教育は人口規模に対して比較的高い学力水準にある一方、その背後には諸外国に比べても重い保護者の私費負担や先生方の負担があります。その中で、子供の貧困、発達障害を持つ生徒への個別支援の不足、日本語を母語としない生徒に対する補助の不足、学級内での学力差の問題といった現状も課題となっています。こうした課題について、教育に対して積極的な公的支出を行なっている諸外国の例も挙げつつ、坪谷氏は子育て・教育の充実こそがこれらの課題の解決に向けた「未来への先行投資」になると指摘されていました。また、これからの課題として、日本の大学の世界ランキングの低下が問題とされる中、その重要な評価指標のひとつである外国人学生の割合を改善するためには世界のインターナショナルスクールに対するアピールも重要になるだろうと述べられており、大学に属する者として世界規模で教育の将来を構想していく必要性に気づかされました。

ご講演の最後に、理念や目標の実現のためには、不器用であっても「できることを精一杯誠実に」やっていくことが大切であると述べられていたのは、きわめて現実的に多くのことを成し遂げられていらっしゃる坪谷氏の言葉だけに一層印象的でした。子供たちは私たちの未来であり、教育は未来を、世界を変えるチカラがある、という坪谷氏の思いを、それぞれの形で共有することができたように思います。

(Texted by: RA6期生 文学研究科修士1年 小関健太郎)

坪谷ニュウエル郁子氏
東京インターナショナルスクール理事長

東京インターナショナルスクール・アフタースクール
http://tokyois-as.com/

神奈川県知事 黒岩祐治氏 「夢を実現するチカラ」

2017年7月8日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、神奈川県知事の黒岩祐治氏よりご講演をいただきました。

今回は政治的なお話を離れ、黒岩氏ご自身のキャリアパスについてお話しいただきました。黒岩氏はキャスターとして活躍したのち政治家に転身なさるという特異な経験をしており、そのエピソードをユーモアを交えてお話しくださいました。
黒岩氏はキャスターと県知事という、一見共通点のなさそうな職種を経ていますが、その過程には一貫して、世の中の困っていることを解決したいという思いがありました。そのビジョンを達成するために形にとらわれず最良の状態を選択するという考え方は、今後の我々RAが自身のキャリアパスを考えるうえで非常に勉強になるものでした。
黒岩氏はキャスターを務める前に記者として活躍されていました。そのためキャスターになった際に上司から、自身は記者でありディレクターでありキャスターである、と言われました。ちょうどその時、救急隊が応急処置しか行うことができないということを知り、この改善のために自ら2年間取材をし、自身の担当するニュース番組にて特集を組んで報道されていました。その報道が功を奏し、救急隊が医療行為を行える救急救命士という資格を設立することが叶いました。
この資格の設立は、黒岩氏の“いのちをつなぐこと”という自身の原点となる思いから実現されたことでした。神奈川知事である今も、“いのち”、“マグネット力”が大切であるということを指針に活動なさっています。マグネット力とは、人を惹きつける力・魅力を表わす、医療の現場で使われる言葉だそうで、キャスター時代に医療機関と接する中で知った言葉だと仰っていました。そして“いのち輝くマグネット神奈川”の実現をミッションに現在奮闘なさっています。
黒岩氏は「人間はひとりひとり生まれながらにミッションをもっている。そのミッションにどこで気づくか」が重要であると仰っていました。そして夢を実現するためには、
1. ミッションを見つける
2. パッションを持つ
3. アクションする
ということが必要であると仰いました。

黒岩氏は、ミッションを見つけることは容易ではなく、ミッションが見つけられていなくてもおかしなことではないと仰いました。今後自分のミッションを見つけられた時、自分のパッションを惜しみなく注ぎ、恐れずにアクションをしていきたいと思いました。

(Texted by: RA6期生 理工学研究科1年 篠﨑紗衣子)

黒岩祐治氏
神奈川県知事 黒岩祐治オフィシャルウェブサイト
http://kuroiwa.com/

慶應義塾大学 経済学部 津谷典子教授「現代人口と歴史人口–結婚の要因と比較分析」

2017年6月24日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、慶應義塾大学経済学部教授であり、厚生労働省の社会保障審議会の人口部会長など、政府の委員としてもご活躍されている津谷典子様よりご講演をいただきました。

今回は、津谷様のご専門である人口学に関連した内容でご講演をいただきました。超成熟社会の課題について考える我々にとって、人口の問題は特に関心の強いテーマであり、今回のお話は非常に勉強になりました。

津谷様は、シカゴ大学大学院で計量分析法を学ばれていた際、歴史人口のデータに触れ、歴史人口のセミナーを取ったことがきっかけで人口学と出会い、人口学をご専門にされました。また、シカゴ大学大学院では数理統計の必修単位の取得に苦労したけれど、数理統計は年を取ると学ぶことができないうえ、本を読んだだけでは身につかないため、当時やっていてよかったと話され、数理・統計を学生が学ぶことの重要性を伝えてくださいました。

人口学は医学、疫学、経済学、社会学、歴史学、数学など、実に多彩な分野の方の貢献により成り立っており、また、人口は世界規模のテーマであるため、実際に色々な地域に足を運び研究が行われます。津谷様はこれらの人口学の学際的、国際的な側面を、人口学をやっていたよかったこととしてあげられました。

また本講演では、近世と現代の日本における結婚の確率に寄与する要因について、実際の分析結果を示してくださいました。特に、男性は近世、現代のどちらにおいても経済的要因が結婚に与える影響が大きいという結果がとても印象的でした。このような人文・社会科学的な結果に対して、分析においてはCoxの比例ハザードモデルなど、専門的な統計の手法が用いられていました。この分析結果は、人文・社会科学的な素養と数理的な素養があわさったからこそ得られたものであるといえます。

津谷様は文系の素養、理系の素養をあわせもっており、まさに我々、このリーディングプログラムのRAが見習うべき存在であると感じました。津谷様の、英語力をみがき、そして理科系の院生は歴史を含む文科系の教養を、文化系の院生は数理・統計の素養を養う、という言葉を胸に、我々RAは今後の活動に取り組んで参ります。

(Texted by : RA6期生 理工学研究科1年 米山慎太郎)

津谷典子様

慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科 教員紹介
http://www.econ.keio.ac.jp/about/faculty-list#modal_5177

厚生労働省社会保障審議会(人口部会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126704

California Department of Public Health IAQ Program Chief 熊谷一清先生「海外で学ぶとは、海外で働くとは」

6月21日(水)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、California Department of Public Health IAQ Program Chief、熊谷一清先生よりご講演をいただきました。

我々日本人学生への啓発ともいえる講演である。熊谷先生は、本学リーディングプログラムにおいて実施される海外インターンシップでも、受け入れ先として大変お世話になっている。講演は、熊谷先生の我々に対する発議とそれによるディスカッションで活発に進んだ。海外で学ぶ、海外で働くとはどのようなことなのか。

本講義の滑り出しは熊谷先生の突然の質問だった。
「はい、では質問をどうぞ?」
会場は沈黙である。それもそう、まだ熊谷先生はほとんどお話されていない。
どういうことか。

続いて、熊谷先生が口を開く。
「皆が主体性をもち積極的にこの場に参加していれば、皆は聞きたいことだけを私から盗んでいけばよいだろう。質問がないならば、なぜ今ここにいる?」

その始まりは印象的であった。熊谷様が終始講演で強調したのは「能動的(Independent)、積極的(Positive)であれ」というメッセージである。例えば、スタンフォード大学で学ぶ学生は、講師の質を見極める。もし、レベルが担保されていない講義があろうものなら、学生から弾劾が下るような環境であるという。そのくらい、学生が「真剣」に臨むのである。
しばらくして、ちらほら質問が出始め、我々も「真剣」にその講義を聞き入った。

日本人はおとなしめで消極的なイメージであり、実際にその表現は的を射ていると思う。しかし、海外、特にアメリカでは「Who are you?」なのである。すなわち、文化的、民族的背景の全く異なる人々が一同に会し、勉強や議論、ビジネスを行うのが現代の国際社会、明確な意志表示をしなければその場にいなかったものと同じとみられる環境なのである。これはアドミッションの段階でもその特徴が表れている。すなわち、海外における履歴書、Resumeは定型的なフォーマットが存在しない。デザインが得意な人間であれば、そのデザイン力を生かしてもよいのである。本人の全てをあらゆる表現で示せるのがResumeであり、定型的な日本の履歴書しか知らないと海外で面喰うだろう。

熊谷様は、自身の海外の議論でのエピソードなどを以て、我々に積極的な議論参加の重要性を示してくれた。しかし、だからといって他に率先して喋りまくればよいというわけではなく、しかるべき時には明確な意志表示を、傾聴すべき場面ではしっかりと耳をすますことが重要なのである。
だが、総じて日本人は明確な意思表示が苦手である。これは集団主義に代表される日本人の文化的な一側面ではあるが、国際的なビジネスの文脈では暗示的な日本人特有のコミュニケーションは相応しくないだろう。
また、熊谷先生によれば、我々日本人が、英語での議論でうまく自分の意見を伝えることができないのを、英語の不堪能さのせいにする傾向があるという。しかし、実はそうではなく、そもそも伝えたいことがまとまっていないことが問題になっている場合が多いという。明確な意思表示をしない癖が習慣となってそもそも伝えたいこともまとめられないのは、そもそもの問題である。

また、日本人がよく陥りがちな組織の肩書への拘りについても、言及下さった。世界における大学ラインキングは様々な指標が存在し、その評価軸によって左右されるが、最も有名なWorld University Rankingで、慶應義塾大学は日本では11位、世界で600-800位である。熊谷先生は講演の中で直接サイトにアクセスし、その順位をスライドに示してくださった。このような順位では、「慶應義塾大学」の名は世界においてはほとんど知られていないだろう。日本の大学の最高峰に君臨する東京大学でさえも40位でこれでも世界的には有名とは言えないレベルである。つまり、世界においては、慶應義塾大学の肩書はほとんど意味をなさないのである。その中で、大学にいるメリットについて、熊谷様は「資源」「表現力-知識、語学、論理展開力」「仲間(ネットワーク)」を挙げられた。特に仲間の存在は最も大きなものになっているとの経験談をお話下さった。近年の専門領域の多様化と複雑化が進む社会においては、協力や提携こそが必要である。そのためにも、自分および自分のやりたいことを手短に、論理的に伝えられる能力が必須であろう。

様々な質疑応答と議論を経て、熊谷先生は最後に我々への激励を下さった。
やりたいことがない人へは、「与えられた場で精一杯やってみる」ことが大切であるという。物事の面白さはある程度やりこまないと意味がない。
そして、何より失敗することが大切である。
失敗しないのは進歩していないのと同等である。
-「No pain, No gain」
来年へのインターンおよび今後の研究活動に向けて、海外への意識が高まった貴重な講演であった。

(Texted by : RA6期 商学研究科修士課程1年 石田陽一朗)

熊谷一清氏
California Department of Public Health IAQ Program Chief,
Lawrence Berkeley National Laboratory Affiliate Scientist
東京理科大学 客員教授

スタンフォード大学 循環器科・医師 池野文昭先生「僻地医療からシリコンバレーへ! 日本を飛び出し16年、今だから言える 若き皆様へのアドバイス」

2017年6月17日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、池野文昭氏(Program Director (U.S) Japan Biodesign, Stanford Biodesign, Cardiovascular Medicine)よりご講演をいただきました。

池野氏は9年間,日本で僻地医療を含む地域医療に携わった後,2001年からスタンフォード大学にて研究を開始されました.現在までに200社を超える医療機器ベンキャーに関与し,多くの企業を成功に導いてこられました.現在は日本にもシリコンバレー型の医療機器エコシステムを確立するため力を注いでおられます.池野氏は,本講演前に「私の異国での経験を赤裸々に白状する.そして,自分の人生を考える糧にしてほしい.」と仰っていた通り,ご自身の経験,成功,失敗,そこから学んだことなどを時間の許す限り熱意を込めてお話ししてくださいました.

池野氏はスタンフォード大学に留学した際のミッションであった
1. 世界中に友達を作りなさい
2. 日本の将来を一生懸命考えなさい
を今も心に抱いて活動しておられ,世界中の一流の研究者,起業家,投資家らと共に,世界を飛び回り日本の医療機器エコシステムの確立に尽力されています.池野氏の講演はユーモア溢れるお話の中にも,池野氏が僻地医療で,アメリカの医療現場,研究現場で,また様々な企業と関わる中で感じたこと,学んだことが散りばめられ,グローバルリーダーを目指す我々RAにとって非常に興味深く,学ぶべきことの多い内容でした.

また,最後に本プログラムについて,プログラムの発展は学生のモチベーションに依存すると仰り,全てのRAにとって激励の言葉となりました.

(Texted by:RA6期生 理工学研究科1年 鶏内朋也)

池野文昭氏
Program Director (U.S) Japan Biodesign, Stanford Biodesign, Cardiovascular Medicine
MedVenture Partners取締役チーフメディカルオフィサー HP
http://www.medvp.co.jp/member/

慶應義塾大学 政策・メディア研究科 高橋 秀明特任教授 「キャリアは創られる、No Matter What!」

2017年6月3日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、現在慶應義塾大学政策・メディア研究科で特任教授を務められている高橋秀明氏よりご講演をいただきました。

髙橋氏は慶應義塾大学工学部修士号取得後、アメリカへ渡りニューヨーク州立大学でコンピュータサイエンス修士を取得されました。その後は米国NCRに入社し、日本NCR会長、米国NCRコーポレーション上席副社長、富士ゼロックス代表取締役副社長、FXパロアルト研究所会長を歴任されました。現在は慶應義塾大学政策・メディア研究科で特任教授を務められている他、国立科学博物館の経営委員を勤められるなど多種多様な分野でご活躍されています。

高橋氏は「キャリアパスというのは意図して創るものではなく人との出会いによって創られていくものだ」と仰っていました。ご講演の中では御自身がこれまで歩んできたキャリアパスがどのように、どんなきっかけで形成されてきたのか、これまでの人生の転機、それをもたらした人々との出会いについてお話くださいました。

高橋氏は「これまで人との出会いに触発されて、やったことのない様々なことにチャレンジしてきた」と仰っています。その言葉通り、これまでエンジニア、マネージャー、工場長、営業、事業会社のリストラ担当、社外取締役、大学教授など多岐に渡る様々な仕事に携わってこられ、どの分野でも大きな成功を収めておられます。驚くべきことは、そうした仕事のほとんどは今までやってこともないまったく未知の分野であったということです。最初は不安や不満を感じても、好奇心に従いどんな分野でも積極的に挑戦してきたことが今につながっていると髙橋氏は語っています。

とにかく多種多様な分野で成功を収めてきた高橋氏ですが、これまでに起こった人生の転機はすべて人との出会いから始まったそうです。「キャリアパスは自分だけでは創れない。人の助け、示唆が必要。だからこそ転機がおこりそうなところへ身を置くことが大切。」と高橋氏は言います。また、人との出会いと同じくらいに自分が好きだと思うことに対して、とにかく「努力」することが大切だと。「負けるな!怯むな!挫けるな!の精神で普段の努力、不断の努力を続けていくことが、自分の運命に影響できる唯一の方法!」という力強いメッセージを私たちに伝えてくださいました。

高橋さんのおっしゃっていた「何事にもチャレンジする!」という心構えは、我々RAにとっても非常に大切な考え方だと言えます。一つの分野に凝り固まることなく、常に新たな分野への挑戦を恐れないことが、素晴らしいキャリアパスを創るための道標となるのでしょう。

(Texted by : RA 6期生 理工学研究科 修士1年 八木 賢太郎)

髙橋 秀明 氏

慶應丸の内シティキャンパス 講師紹介HP
https://www.keiomcc.com/faculty/teacher/takahashihideaki.html

オリックス 役員情報HP
http://www.orix.co.jp/grp/company/officer/profile/h_takahashi.html

福岡銀行(株) 役員紹介HP
https://www.fukuoka-fg.com/company/executive