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東京海上ホールディングス株式会社 取締役会長 隅 修三氏 「平時の改革・グローバル化 ~逆風を追い風に~」

2017年10月28日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、東京海上ホールディングス株式会社・取締役会長の隅修三様よりご講演をいただきました。

隅会長からは、ご自身が取り組まれた国内ビジネスプロセスの抜本的改革と大胆な海外展開という2つの経営改革により、東京海上グループがこの10年余りでいかに根本的な変質を遂げたかという観点から、経験談も交えながらお話をいただきました。
隅会長は、改革を進めるにあたって、現場の仕組みから変えていくことを重視されました。それは、上から改革の掛け声をかけるだけでは現場社員の意識は長続きせず、現場の仕組みを変えることで社員の行動の変革に繋がり、行動の変革が考え方を変え、それが最終的に企業文化の変革にまで繋がっていくと考えたからだと仰っていました。

1990年代後半に保険業が自由化されて以降、業界内の競争が激化し、東京海上の社内は閉塞感に覆われるようになりました。隅会長は「このままでは会社は潰れてしまうかもしれない。」との強い危機感から、商品・事務・システムを一体的に改革する国内事業プロセスの抜本的改革に着手されました。業務プロセスをシンプル、スピーディーかつ透明性の高いものに変革していくことで、その後の厳しいマーケット環境下においても高い競争力を維持していくことができたとのことです。また、隅会長は、会社が危機に直面する前の平時から改革に着手することの重要性を強調されていました。

その後、東京海上ホールディングスは、隅会長のリーダーシップの下、グローバル展開を加速します。隅会長からは、M&Aの基本理念として、相手企業が以下の3つの要件を満たしているかどうかを基準にしているとのお話がありました。
1. 健全な経営を行なっている経営陣、チームを有している。
2. 特定の分野に強いビジネスモデルを持っている。
3. 将来の成長が期待できる。
隅会長は、M&Aはゴールではなくスタートであり、買収後も相手企業に最大限の敬意を払い、その企業文化を大切にする姿勢が重要であるとも仰っていました。

最後に隅会長は、integrity(誠実さ、高潔さ)という価値観を大切にし、ご自身の経営判断に際しては、”逃げない”、”ブレない”という姿勢を意識してきたと仰っていました。何が正解かが分からないことが多い経営に対して、真摯に、謙虚に取り組んでいらっしゃる隅会長の姿勢を、我々リーディングプログラムのRAのみならず、多くの学生、社会人が見習うべきだと思いました。

(Texted by: RA6期生 理工学研究科 修士1年 榊原 優真)

隅 修三 氏
東京海上ホールディングス 代表取締役会長
http://www.tokiomarinehd.com

株式会社OE Solutions Japan 代表取締役 陶山茂樹氏 「ヒトは失敗(経験)からしか学べない 失敗を恐れず未来へチャレンジ」

2017年10月21日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、陶山茂樹氏よりご講演をいただきました。

陶山氏は大学卒業後にNECに入社、約30年に渡り光通信のプロフェッショナルとして事業部長、研究所支配人、光通信システム事業責任者まで勤められました。そのあと、東京大学総括の寄附講座から、産学連携のベンチャーを立ち上げ、株式会社Digital Gridの代表として活躍なさいました。現在は、株式会社OE Solutions Japan 代表取締役をつとめており、大企業、ベンチャー企業、外資系企業という幅広い組織の中での経験を積まれております。

今回の講演では、『ヒトは失敗(経験)からしか学べない 失敗を恐れず未来へチャレンジ』をテーマに、陶山氏のこれまでの大企業、ベンチャー企業、外資系企業で培ったそれぞれの経験、気づきを基に、お話しいただきました。

通信バブル崩壊、グローバル化、雇用流動化など、様々な社会変動をご自分のキャリアの中で経験し、その度ごとに失敗から学び、様々な困難を乗り越えて来られました。通信ネットワーク容量の供給過剰ゆえに事業が傾き、その際、責任者として学んだことは、事業は実行力であること、誰かの力を借りることができること、そして時代認識力であると語られておりました。またベンチャーではこれまでの職場環境と異なり、立場も違う中、人を雇うことへの責任を学んだそうです。大手企業にはない尖った人材集団のマネジメントの経験は「同じ船に乗れる人で起業せよ」という言葉にまとめられておりました。現在代表取締役を務めている外資系グローバル企業では世界と日本の文化や価値観の違いを感じながらも、日本国内売上を大きく伸ばすなど、結果を残していらっしゃいます。

印象的であったのは、どの企業での経験を話すにも、「人」という言葉を繰り返し使っておられたことです。雇用流動社会を生き抜くためにも、事業を成功に導くのも、逆境を乗り越えるにも、人との繋がりの大切さを身をもって感じておられるのが、強く伝わって来ました。陶山氏のその言葉の重みは、これまでたくさんの人と出会い、仕事をし、人を動かして来られた経験あってのものだと思います。「人生は偶然と必然がおりなす」という言葉にもありましたが、陶山氏がそうであったように、予期せぬチャンスを掴めるよう、このようなリーディング大学院のような機会を含め、自分から行動し、新たな世界へと積極的関わりに行き、時代を認識し、人と繋がって行きたいです。

(Texted by:RA6期生 早坂若子)

陶山茂樹氏
株式会社OE Solutions Japan 代表取締役
http://www.oesolutions.com/main/view/

昭和女子大学 理事長 坂東 眞理子氏「 公務員から大学へ」

2017年10月14日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、昭和女子大学の理事長・総長をされている坂東眞理子さんよりご講演をいただきました。

今回の講演では、坂東氏ご自身のキャリアパスについてお話しいただきました。坂東眞理子さんは、富山県出身で地元の進学校を卒業された後に、東京大学に進学し、大学卒業後、1969年に総理府(現在の内閣府)に入省しました。当時、女性が中央官庁に入省するのはまだ珍しいことでした。それは当時の日本の就職活動において、女性差別がまだ残っており、男子学生の採用が優遇されており、女子学生には能力があるにも関わらず、門戸が開かれていなかったからです。
その後、1975年に総理府婦人問題担当室(現内閣府男女共同参画局の前身)が発足した時に最年少の担当官としてその活動に参加され、1978年に日本初の「婦人白書」を執筆されていました。坂東眞理子さんは当時男性優位の職場の中で、婦人の地位向上に向けた施策の実現に果敢に挑戦されて来られた点が印象的で、今では当たり前になった両性の平等、性別にとらわれない自己実現といった理念は坂東氏等先達たちの努力のおかげであることが実感されました。
1980年より坂東眞理子さんはハーバード大学に留学され、総務庁統計局消費統計課長,埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事、内閣府男女共同参画局長を経て、2003年に内閣府を退官されました。これらの多様なキャリアパスにおいて、それぞれの経験がいろんな形で生きたとのことです。現在理事長・総長を勤められている昭和女子大学においても、テンプル大学日本校を誘致するなど、新しいチャレンジを続けておられます。

日本社会において、男女間賃金格差や女性政治家の少なさなどの様に、男女格差がまだ存在している中で、それらを打破するための示唆に富むお話を多く伺いました。今後の日本社会において、人々が性別含め様々な障壁を感じることなく、各人の望むように働き、自己実現していくにはどうすれば良いのか、改めて考えるきっかけとなった有意義な講演でした。

(Texted by: RA6期生 法学研究科1年 丁飛)

坂東眞理子氏
昭和女子大学 理事長
https://univ.swu.ac.jp/guide/introduction/message_c/

Pacific & Atlantic PM Innovation代表 田中弘氏 「慶應義塾卒プロジェクトマネジメント界グローバル・プレイヤーからのメッセージ」

2017年10月7日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において,田中弘氏よりご講演をいただきました.

田中氏は本学法学部出身(1967年)であり,日揮株式会社にて本部長代行・子会社役員まで務められ,兼務で,日本プロジェクトマネジメント協会の創設者で代表を14年間並びに世界プロジェクトマネジメントフォーラム第3代会長,フランス,セネガル,ウクライナ,ロシア,日本の大学院教授を歴任されるなど実に様々なバックグラウンドを持っています.
田中氏は,これらの多様なキャリアに基づいて現在取り組まれている4つのプログラム,アカデミックとしての目標・信条,社会人3ステージ・キャリアの由来,そしてご自身が現在の日本の高等教育についてどのように考えているかについて熱意を込めてお話ししてくださいました.

現在,田中氏が取り組まれているプログラムは主に,
① 大学院教育プログラム
② 日本政府外郭団体主催海外人材育成プログラム
③ 世界PMコミュニティーとしてのコミュニティー貢献プロジェクト(世界大会での基調講演等)
④ 元指導学生等の研究者スタートアップ支援
の4つであると仰ってました.

田中氏は,大学院教育プログラムの一環としてフランスのグランゼコール SKEMA Business School,Ph.D./DBA Programme国際教授として博士課程の学生のご指導をされており,指導教授として5名のPh.D.を輩出されております.海外人材育成では,Program & Project Management Course Directorとして経営者・ミドルマネージャーの研修を2009年から実施されており,現在も継続しています.また,元学生の就職支援にも大変熱心に取り組まれており大学に教員として就職したい学生のための推薦状の執筆・コーチングにも注力されているとのことでした.PM理論におけるTeaching Professorとしては,世界トップ5に入る権威者であり,エンジニアリング&コンストラクションプロジェクトのPM理論研究のパイオニアとして現在も活動を続けられています.

田中氏は「何事にも挑戦することが大切である」と強く主張されており,ご自身の実に多様なバックグラウンドに基づいて,その重要性について熱弁してくださいました.田中氏のキャリアパスは一般的なキャリアパスとは大きく異なり刺激的なものであり,「プレイヤーとしての意識を持っている」と終始仰ってました.我々は現在大学院で教育を受けている身であるが,非日常的な環境に積極的に身をおく必要性があると強く感じました.

(Texted by: RA6期生 理工学研究科修士1年 黒部聡亮)

田中弘氏
Pacific & Atlantic PM Innovation代表
International Professor, DBA in Strategy, Program and Project Management Program, SKEMA Business School (France)
Dean, PhD Program, CASR3PM Graduate Academy (Senegal)
Professor of Honor, Kiev National University of Construction Architecture; National Shipbuilding University named after Admiral Makarov; Odessa National Maritime University (Ukraine)
国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学知識科学系非常勤講師(2017年5月まで客員教授)
公立大学法人岡山県立大学教育開発センター客員教授(大学院共通科目担当)
Course Director, Program & Project Management, The Association for Overseas Technical Cooperation and Sustainable Partnerships (AOTS)

東京インターナショナルスクール理事長 坪谷ニュウエル郁子氏 「教育は世界を変える」

2017年9月30日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、東京インターナショナルスクール理事長をはじめ、さまざまな教育機関や団体で役職を務められている坪谷ニュウエル郁子氏にご講演いただきました。

坪谷氏は学生時代から事業運営に創意工夫と行動力を発揮されるとともに、生きることについて深く考える中で教育の道に進んでいったそうです。その後英語学校であるイングリッシュスタジオの設立を出発点として、東京インターナショナルスクールをはじめとする教育機関や団体を立ち上げられ、現在まで幅広く教育活動に取り組まれています。活動を通じて立ち上げられた教育機関のひとつであるインターナショナルセカンダリースクールでは、発達障害を含め多様な生徒の個性に合わせた教育も行っていらっしゃいます。
インターナショナルスクールに通う生徒は、保護者の転勤等により複数の国々の学校で学校生活を送ることも少なくありません。そこで、どの国に行っても通用するカリキュラムとして坪谷氏が注目されたのが国際バカロレアです。
国際バカロレア (IB) は、まさに世界共通の成績証明書を実現することを当初の目的として開発された教育システムで、生徒を主体とした独自の全人教育が特色です。例えば、6つの領域を学ぶ小学校のプログラムでは、個別の事例としての「トピック」についての学習に留まらず、普遍性のある「概念」のレベルまで洞察することが求められるそうです。特にこの概念学習の考え方に関心を持つRAは多く、ご講演の最後には様々な質疑応答も交わされました。
坪谷氏は国際バカロレアの普及に長年尽力され、これまでに国際バカロレア機構の日本大使 も務められています。
坪谷氏の取り組みのひとつに、これまで欧米の数カ国語のみで受験可能だった国際バカロレアの卒業試験の日本語による受験の実現があります。実際に現在たくさんの科目が日本語で受験可能になっていますが、取り組みの理念として、言葉が文化と歴史を背負っていることや、経済事情や居住地域による格差をなくしていくことを挙げられていました。また、経済面についても支援の取り組みを進められており、徹底した課題解決中心主義を感じました。
さらに、教育再生実行会議の委員としての経験を交えつつ、日本の教育の問題についてもお話しいただきました。その中でも、全ての子供たちの能力を伸ばす、という実行会議の教育提言の理念を実現するために、発達障害等のある子供のための通級指導の予算獲得を実現して実態の改善に繋げられた経緯からは、坪谷氏の情熱と努力が伝わってきました。
日本の教育は人口規模に対して比較的高い学力水準にある一方、その背後には諸外国に比べても重い保護者の私費負担や先生方の負担があります。その中で、子供の貧困、発達障害を持つ生徒への個別支援の不足、日本語を母語としない生徒に対する補助の不足、学級内での学力差の問題といった現状も課題となっています。こうした課題について、教育に対して積極的な公的支出を行なっている諸外国の例も挙げつつ、坪谷氏は子育て・教育の充実こそがこれらの課題の解決に向けた「未来への先行投資」になると指摘されていました。また、これからの課題として、日本の大学の世界ランキングの低下が問題とされる中、その重要な評価指標のひとつである外国人学生の割合を改善するためには世界のインターナショナルスクールに対するアピールも重要になるだろうと述べられており、大学に属する者として世界規模で教育の将来を構想していく必要性に気づかされました。

ご講演の最後に、理念や目標の実現のためには、不器用であっても「できることを精一杯誠実に」やっていくことが大切であると述べられていたのは、きわめて現実的に多くのことを成し遂げられていらっしゃる坪谷氏の言葉だけに一層印象的でした。子供たちは私たちの未来であり、教育は未来を、世界を変えるチカラがある、という坪谷氏の思いを、それぞれの形で共有することができたように思います。

(Texted by: RA6期生 文学研究科修士1年 小関健太郎)

坪谷ニュウエル郁子氏
東京インターナショナルスクール理事長

東京インターナショナルスクール・アフタースクール
http://tokyois-as.com/

2017年度 サマーキャンプ

日程:
2017年8月26日(土) ~ 8月27日(日)
場所:
丸紅多摩センター研修所
〒192-0363 東京都八王子市別所2丁目39番2

超成熟社会に対する提案コンペ

本年度のサマーキャンプでは、キャンプの事前に、9チームに分かれたRAが、超成熟社会に関する課題を抽出し、フィールドワークを行いました。そして、キャンプ当日、各チームが抽出した課題に対する解決策について、アドバイザーである教員やメンター、修了生とともに議論を行い、アイデアのブラッシュアップを行いました。提案コンペティションでは、提案書を日英で作成し、英語でプレゼンテーションを行いました。

優勝チーム

氏名 所属 学年
岡本翔平 経済学研究科  博士課程1年
小島康裕 商学研究科 副専攻修士課程1年
石川貴啓 商学研究科 副専攻修士課程1年
今給黎薫弘 理工学研究科 修士課程2年
丁 飛 法学研究科 修士課程1年

優勝アイデア

「障害者雇用促進及び改善」をビジョンとした提案を行いました。特に、就労移行・継続支援事業において、工賃の向上による福祉的就労の底上げをするために、民間リソースを積極的に利活用するソーシャルインパクトボンド(Social Impact Bond; SIB)を用いたスキームを提案し、ファイナルコンペで優勝しました。ソーシャルインパクトボンドとは、行政等が成果報酬型かつ社会課題解決型の委託事業を実施し、その事業に対して民間からの資金調達を行うもののことです。

  • チームメンバー(左から石川、小島、岡本、丁、今給黎)

修了生の座談会

2017年3月にリーディングプログラムを修了した修了生が、サマーキャンプに参加し、座談会を開催しました。修了生は、リーディングプログラムで過ごした5年間や職場での業務体験を振り返りながら、リーディングプログラムで学んだことや就職活動のアドバイスを語りました。

ファイナルコンペティション

メンター、教員からのコメント

ディスカッション

座談会の様子

集合写真

3大学合同報告会を開催

2017年8月8日(火)、専修大学(生田キャンパス)にて、認知症プロジェクトに参加する3つの国内大学(専修大学、青山学院大学、慶應義塾大学)による活動報告会を開催しました。各学生の発表後に、自治体連携先である川崎市や渋谷区の方とディスカッションを重ねました。
本リーディングプログラムの学生も、今年度の夏から秋にかけて、各解決策を川崎市等の地域の中で試行実施し、11月には実施結果の一部を発表する予定です。

参加RAの発表タイトル
平尾美佳 「認知症の人もクラブダンスで自分を解き放ち、ストレス発散と運動を!」
今給黎薫弘 「D-mark Project〜栽培キットを用いた新たなケアの提案〜」
角 晴美子 「みんなが訪問したくなる認知症カフェの普及を目指して」

  • プレゼンテーションの様子

    プレゼンテーションの様子

  • ディスカッションの様子1

    ディスカッションの様子1

  • ディスカッションの様子2

    ディスカッションの様子2

神奈川県知事 黒岩祐治氏 「夢を実現するチカラ」

2017年7月8日(土)、本プログラムの活動拠点である日吉西別館において、神奈川県知事の黒岩祐治氏よりご講演をいただきました。

今回は政治的なお話を離れ、黒岩氏ご自身のキャリアパスについてお話しいただきました。黒岩氏はキャスターとして活躍したのち政治家に転身なさるという特異な経験をしており、そのエピソードをユーモアを交えてお話しくださいました。
黒岩氏はキャスターと県知事という、一見共通点のなさそうな職種を経ていますが、その過程には一貫して、世の中の困っていることを解決したいという思いがありました。そのビジョンを達成するために形にとらわれず最良の状態を選択するという考え方は、今後の我々RAが自身のキャリアパスを考えるうえで非常に勉強になるものでした。
黒岩氏はキャスターを務める前に記者として活躍されていました。そのためキャスターになった際に上司から、自身は記者でありディレクターでありキャスターである、と言われました。ちょうどその時、救急隊が応急処置しか行うことができないということを知り、この改善のために自ら2年間取材をし、自身の担当するニュース番組にて特集を組んで報道されていました。その報道が功を奏し、救急隊が医療行為を行える救急救命士という資格を設立することが叶いました。
この資格の設立は、黒岩氏の“いのちをつなぐこと”という自身の原点となる思いから実現されたことでした。神奈川知事である今も、“いのち”、“マグネット力”が大切であるということを指針に活動なさっています。マグネット力とは、人を惹きつける力・魅力を表わす、医療の現場で使われる言葉だそうで、キャスター時代に医療機関と接する中で知った言葉だと仰っていました。そして“いのち輝くマグネット神奈川”の実現をミッションに現在奮闘なさっています。
黒岩氏は「人間はひとりひとり生まれながらにミッションをもっている。そのミッションにどこで気づくか」が重要であると仰っていました。そして夢を実現するためには、
1. ミッションを見つける
2. パッションを持つ
3. アクションする
ということが必要であると仰いました。

黒岩氏は、ミッションを見つけることは容易ではなく、ミッションが見つけられていなくてもおかしなことではないと仰いました。今後自分のミッションを見つけられた時、自分のパッションを惜しみなく注ぎ、恐れずにアクションをしていきたいと思いました。

(Texted by: RA6期生 理工学研究科1年 篠﨑紗衣子)

黒岩祐治氏
神奈川県知事 黒岩祐治オフィシャルウェブサイト
http://kuroiwa.com/

デルフト工科大学との国際交流および現地施設見学等

2017年2月、日本での認知症プロジェクトの成果を、デルフト工科大学の大学院生や教員へ紹介し、意見交換を行いました。そして、オランダならではの認知症施策の現場を見学し、取り組みを学びました。

RA:小林優一岡本翔平平尾美佳角 晴美子今給黎薫弘
訪問先:
1) Zorgboerderij Het Boere Erf(ケア農場・ブーラ農園)
2) Delft University of Technology(デルフト工科大学)
3) Hogewey(ホグウェイ)
4) Alzheimer Café(アルツハイマーカフェ)
5) VUmc Amsterdam(アムステルダム自由大学医療センター)
活動時期:2017年2月

1) Zorgboerderij Het Boere Erf(ケア農場・ブーラ農園)
 ブーラ農園では、認知症ケアの一環として農作業やお菓子作りなどを行っています。入居者が室内に閉じこもらないよう、室外栽培や牧畜を行い、栽培から収穫、販売も行っています。入居者の症状によって仕事を割り当てるのではなく、その人にできる仕事があれば、誰でも入居可能な施設です。日本ではまだ、農業とケアを組み合わせている施設は少なく、このような取り組みを広げて行くことが今後大切になると実感しました。
(RA5期生 理工学研究科 修士課程2年 今給黎薫弘)

2) Delft University of Technology(デルフト工科大学)
認知症プロジェクトの国際連携先であるデルフト工科大学主催の研究発表会へ参加しました。私たちは、認知症に関する日本の現状(特に、オランダと日本の平均寿命の違いや、認知症施策に関わるエビデンス)を紹介しました。そして、これまでの私たちの取組みとして、「書道セラピーを通じた認知症患者のコミュニティー創出」、「認知症カフェのプロモーション」、「ケアプラン作成プロセスの簡潔化」、「フェアトレード商品として農作物(D-mark)を栽培する」アイデアを発表しました。お互いの課題について、参加大学の学生に疑問を投げかけ、意見交換を行いました。
(RA3期生 経済学研究科 博士課程1年 小林 優一)

3) Hogewey(ホグウェイ)
Hogeweyは、認知症の人のための居住空間です。アーバンスタイル、コスモポリタンスタイル、ムスリムスタイルなど、多様な住居スタイルがあり、全部で23の部屋が用意されています。入居者は、これまでの生活背景に近い人同士数名でグループになり、お風呂や茶の間を共同利用しています。
私たちが訪問した住居では、3名の女性入居者が茶の間に集まり、それぞれの時間を過ごされていました。入居者はそれぞれ個室を持ち、自宅のような印象がしました。施設の人に話を聞くと、認知症の人が昔の家に帰りたいと言うことはあまりないそうです。その理由は、入居者が「ここが私の住まいである」と安心できているからとおっしゃっていました。重度の認知症と診断された人が、このように穏やかに、しかも残存能力を活かしながら生活している様子は、にわかには信じられませんでした。
このような保護された広い場所のない一般的な施設であれば、認知症の人が住居空間の外に出たいと言えば、それは徘徊リスクが高いとみなされてしまうかもしれません。しかし、Hogeweyには住居空間の他に、池や噴水やベンチがあり、スーパーやレストラン、映画館、芸術活動の部屋などもあります。
私は入居者の人にとって快適な環境を提供することは、必要なケアの量を減少させるかもしれないことに気づきました。日本における快適な環境は何か、これからの課題として考えていきたいです。
(RA3期生 健康マネジメント研究科 博士課程1年 平尾美佳)

4) Alzheimer Café(アルツハイマーカフェ)
私は日本で認知症の方々のQuality of Life を向上させるために認知症カフェを広めることに関心をもっています。認知症カフェを広めるには、どうすれば良いのかを探るため、先進的なケアが行われているオランダのアルツハイマーカフェを見学しました。
オランダのアルツハイマーカフェは、20年上以上前に設立され、誰でも認知症のことについて知りたい人、語りたい人が無料で参加できます。開催と同時にとても人気が出て、オランダ全土に広がり、今では250か所以上あります。メディアを通じて、認知症や認知症カフェを広く宣伝することで、オランダの人は認知症に対する”タブー”を乗り越えていきました。驚いたことは、Alzheimer Nederlandのウェブサイトに若い人々が興味を持ち、共感するようになったことです。
日本の認知症カフェと違う点は、オランダではアルツハイマーカフェがあくまでも情報を提供する場、話すことによって交流を深める場であって、働いたり工作をしたりするというアクティビティを提供する場ではないことです。日本の認知症カフェの良さを活かして、誰もが訪問したくなる認知症カフェのモデルを考えてきたいと思います。
(RA5期生 経済学研究科 修士課程1年 角 晴美子)

5) VUmc Amsterdam(アムステルダム自由大学医療センター)
自由大学医療センターでは、本センターで開発された認知症診断ツール”Observation List for Dementia: OLD”について学びました。”OLD”は、認知症の初期診断を行うための指標です。”OLD”を用い、従来、医師の診察だけで判断していた認知症の診断精度の向上を目指しています。実際、担当医が問題ないと判断した患者のうち、”OLD”によって約20%の患者に初期症状があると判定され、実際に認知症の診断が認められた事例もあるそうです。
このようなツールを導入することにより、精度の高い診断を行うことができます。本フィールドワークを通じて、社会の中でどのように認知症の問題に対処していくべきなのか、一端を垣間見ることができました。
(RA5期生 理工学研究科 修士課程1年 今給黎薫弘)

  • ブーラ農園

  • デルフト工科大学図書館にて

  • グーセンス先生による開会挨拶

  • 認知症プロジェクト成果発表会

  • 交流の様子

  • アルツハイマーカフェにて

  • アムステルダム自由大学医療センター

2016年度中間発表会(超福祉展、渋谷ヒカリエ)

2016年11月8日(火)、NPO法人ピープルデザイン研究所主催イベント「超福祉展」にてシンポジウムを開催し、6名のRAがこれまでの成果を発表しました。会場には、川崎市や渋谷区の自治体職員の方に多数お越しいただき、激励をいただきました。また、このシンポジウムには、大学連携先である専修大学と青山学院大学、国際連携先であるオランダのデルフト工科大学の学生もそれぞれの成果を発表し、交流を深めることができました。